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創作SS

ダークマティック・ヴァレンタイン

 ←彼岸姉妹の神社って何? →簡単なキャラ設定その3・敬音
「はい、チョコレート。バレンタインだしね」

「・・・」

「Σふぇっ!?」




~ダークマティック・ヴァレンタイン~

※こちらはPSO2二次創作SSです
本来の世界観などとは異なる場合がございます、ご了承ください
15日朝方までの限定公開となります
諸々の都合によりしばらくこのまま公開することになりましたw




ある日のマイルームでの出来事
それは本当に唐突だった


「なにボサっとしてるの?日頃の感謝なんだからさっさと受け取りなさいよ」
「う、うん・・・ありがとう姉さん・・・///」

アークスシップ四番艦『アンスール』に所属する双子の姉妹、リイコとラン
姉から妹への突然のプレゼントである
ちなみに、ランは実の姉に家族とは別の感情を持っており
その喜びはひとしお、というよりも混乱を招くほどであったようだ


「けど姉さん、準備なんてしてるとこ見たことないし、一体どこでこれを・・・手作りみたいだし・・・」
「そんな野暮なことは聞かないの♪こっそり準備するの大変だったんだから」
「今開けちゃってもいい?」
「ええ、いいわよ。せっかくだし今食べちゃいましょう。そう思っておやつ時を狙ったんだしね♪」
「うん♪」

丁寧に包装された封を破らないように丁寧に開けるラン
中に入っていたのはハートを模った色とりどりのチョコレート
甘い香りが鼻をくすぐる、とてもおいしそうな一品


「わぁ・・・素敵!すごいかわいい♪」
「でしょ?」
「姉さん洋菓子作るの少し苦手じゃなかった?こんなすごいの一体どうやって・・・」
「アンタにできて私にできないわけないでしょ?それに・・・」
「・・・?」
「そ、それなりに頑張ったのよ。他でもないアンタに渡すんだから・・・」
「Σ!!///」
「ちょ!もうこの話はいいから!さっさと食べなさいよ恥ずかしいわね・・・///」
「う、うん///じゃあいただきまーす♪」

チョコレートを一つ手に取り
まさに口に運ぼうとしたその時
ものすごい勢いの足音と共に、マイルームのドアが勢いよく開かれた


ドドドドドドドドドドドドドドド・・・ガチャン!!

「あーーーーーーっ!!やっぱりいた!!」
「・・・?」
「げ」




部屋に入ってきたのは双子の姉、リイコ
チョコレートを貰い、食べようとしていた妹、ランと瓜二つの少女である
そして
そのチョコレートをあげた、もう一人の少女と全く見分けがつかない


「え・・・ええええええぇっ!?!?」

あまりの衝撃にランは手にしたチョコレートを落としてしまい
ハート型のそれは口に運ばれることはなく床に落ちてしまった
地面に落ち割れてしまったソレは
まるでダーカーを殲滅したときのように、赤黒い影となって消失し
影も形もなくなっていた


「え・・・あの・・・一体何が・・・」
「ラン!!」
「は、はいぃ!?」
「ソイツは私の偽者、今各地で出現してるクローンの一体よ!とにかくそのチョコは食べちゃダメ!!」
「えぇっ!あ、あの・・・状況がよく・・・」

混乱してるランをよそに、リイコだと思われていた少女が口を開く

『あーあ、バレちゃったかぁ♪』
「アンタ、人の姿でよくもまぁ無茶苦茶してくれたわね・・・!
 今日はクエストで出払ってたのに、帰ったらロビーでうろついてたって周りが言い出すんだもの。
 知らない人ならともかく、私の知ってる人が私達姉妹を見間違えるとは思えないし
 最近アークスの模倣体が多いって報告があったからまさかと思ってきてみたら・・・!」
『いいじゃない別に♪ニンゲンの文化ってのも興味あったしぃ?アークス殲滅って言ったって方法は色々とあるのよ』
「フザけたことを・・・!」
『それに今回はテスト、遊びみたいなものよ。どうもこういう手段じゃフォトンで守られたアンタらを殺すことはできなかったみたいだしね』
「どういう意味よ」
『じきにわかるわよ、まぁ楽しみにしてなさいな♪』
「舐めた口を!!ここでトドメを刺してやるわ!!ラン!今すぐソイツから離れて戦う準備をなさい!」

先ほどまでの空気が一変し、室内に異様な緊張感が漂う
思えば既にダーカーの侵入を許してしまっているのだ
アークスシップがダーカーに襲われるという状況はもう何度も目にしている姉妹であったが
一度として被害が小さくなかったことを知っているが故に
今ここで食い止めることができなければ、それがどういうことを意味するのかはわかりきっていた


「ラン!聞いてるの!早く!!」

姉の必死な声は妹に届かない
痺れを切らし強引に引き戻そうと近づいて、それに気付いた


「・・・あ?」
『ふむ・・・』
「(姉さんが二人も・・・幸せ・・・///)」

一人だけ緊張感の欠片も持ち合わせていなかった




「(なんだコイツ・・・)」
『(お、面白い・・・!)』
「こンのバカ妹がッ!!」
ゴンッ!
「痛っ!!・・・ハッ!?」
「ハッ!?じゃないわよこのおバカ!なにニヤついてんのよ気持ち悪いわね!!」
「いやだって姉さんが二人も」
「うるさいわアホ!いいから下がりなさい!!」
「うわぁ!?」

リイコはランを強引に引き寄せ、自身の後ろに下がらせる
事態は全く変わってないが、先ほどまでの緊張感はすっかり霧散していた


『・・・』
「な、なによ・・・」
『・・・プッ』
「!?」
『あーーはははははwwwwwアンタらなにそれショートコント?wwwwww』
「う、うるさいわね!!」
『真面目にやってンのそれ?wwねぇそうなの?www・・・プッ・・・はははははははwwwwww』
「笑うなぁ!!」
『なんなのアンタら本当に・・・wwwふふww笑いすぎてお腹いたいwwww』
「こンの・・・!!アッタマきた!!殺してやる!!」

リイコはアイテムパックからソード「ラムダアリスティン」を取り出し一気に間合いを詰め
自身と同じ姿をしたダーカーの腹をめがけて容赦なくそれを突き刺した





「!!」

しかし手ごたえは全くない
ソードはクローンの腹を貫通してはいるものの
まるで霧でできているかのようだった


「チィッ!」

そのままソードを横になぎ払ってみるも結果は同じ
クローンの身体を易々とすり抜けてしまう
と、いうよりも
全体の実体象が少しずつではあるが、消えていっているようだった


『あぁ・・・もう時間か』

ボソリと呟くリイコのクローン

「どういう意味よ」
『あれ?知らない?アブダクションからのクローン生成はまだ未完成なのよ。
 現状だとせいぜい48時間が限度、この身体もタイムリミットってことよ』

そう言うと、クローンの身体とチョコレートから黒い霧が湧き出し
少しずつ原型を失っていく


『まぁ私は今回ちょっと別の用途で使われたってところかしらね。自我があっても結局は傀儡の身、ただの使い捨てよ』
『まぁそれなりに楽しませてもらったわ。貴方には置き土産もあるしね♪』
「どういうことよ、ハッキリ言いなさい!」
『やぁだ♪まぁ不本意ながら命に別状があるものではない、とだけ言っておくわ。今回は失敗、ほっといたらいい程度のものよ』
『せいぜい貴方達も楽しみなさいな。
 それじゃあね、次の私は今の記憶があるのかどうかもわからないけれど、また遊びましょう?楽しい双子さん♪』

その台詞を最後に、リイコと全く同じ姿形をした少女だったモノは、完全な黒い霧となり消失した
ソレが送った、ついぞ食べられることのなかったチョコレートも、その中身は同じように消失していた





「全く・・・一体なんだってのよ・・・」
「・・・姉さん」

振り返ると、ランはいつの間にか正気を取り戻していたようで
クローンの最後の言葉が引っかかったのか、不安を隠せないようである


「とりあえず目が覚めた?」
「はい・・・ごめんなさい・・・」
「ホント勘弁してほしいわ・・・後味も悪いしもう散々よ・・・」
「偽者が言っていたこと、気になりますね・・・」
「大したことないって言ってたけどね、鵜呑みにするわけにもいかないし、ちょっと調べないとっ・・・!」

言いかけたところで、リイコの端末に通信が入った
通信先はメディカルセンターの職員からで、疑問に思いながらも応答することに


「はい、こちらリイコ・ライヒェンベルガー。なにかあった?」
【もしもし。実はですね、少し確認があって、今からメディカルセンターに来てほしいんですけども】
「確認?最近大きな負傷もないし、定期健診とかもなかったはずよね?とくに思い当たる節がないんだけれど・・・」
【それが・・・ここ数日、貴方からもらったチョコレートを食べて具合が悪くなったアークスが何人もこちらに運ばれていてですね・・・
 ちょっとお話を聞きたいんですけども】
「「Σ!?」」
【実のところ容態が悪くなる原因がわからないんです・・・
 成分調査も兼ねて、その配ったチョコレートというのを持ってきてもらえると助かるのですが】
「え、えっと・・・それはそのあの・・・」
【他の要因があるのかもしれないですし、皆さん快復には向かっているので問題ないとは思いますが
 なるだけ早急にお願いいたします、では】




通信が切れる
ランにも内容が聞こえていたようで、その表情は青ざめている


「・・・・・・!」

リイコは眉間に皺を寄せながら大きく息を吸い、窓に向かって叫んだ

「あンのアホクローーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」

「Σうわぁ!?姉さん落ち着いて!」
「これが落ち着けるか!完全に私のせいになってるじゃないのよ!
 あのバカダーカー、よりによって私の顔でリミット一杯使って得体の知れないものを配り歩いてたのよ!!冗談じゃないわよ!!」
「とりあえず事情を説明しに行かないと・・・」
「あぁーんもうどうすればいいのよぉ・・・」

頭を抱えるリイコ
珍しく狼狽するその姿に、ランも同情を禁じえなかったようだ


「まずはメディカルセンターへ事情を説明しに行きましょう、起こったこときちんと話せばわかってくれますよ」
「そうよねぇ・・・はぁ・・・気が重いわぁ・・・」
「私も一緒に行きますから」
「それから搬送された人たちにお詫びもしないとだわ・・・」
「後日きちんと謝りましょう。そうね・・・改めて、姉さんからちゃんとしたチョコレートを渡す、というのはどう?」
「アンタ、私が洋菓子作るの苦手なの知ってるでしょう・・・」
「私も手伝いますよ!お詫びとかじゃなくて、私達の日頃の感謝をこめて作ればきっと受け取ってくれますよ♪」
「やるしかないかぁ・・・」
「頑張ろう姉さん!さぁ、まずはメディカルセンターへ行って、帰りに材料を買って帰ろう♪」

そうしてしばらくの間、チョコレート作りに奔走する姉妹の姿が目撃されることになりましたとさ
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